『ショート・ターム』上映と トークイベント〜アメリカと日本の児童保護の違い〜
ピクチャーズデプト代表のしおまきです。
娘に性的虐待をしていた父親が3月に名古屋地裁から無罪判決を受けた例には
驚いた方も多かったのではないでしょうか?
中学2年から19歳になるまで週に2回、暴力で押さえつけられて父親から(!)
性暴力を受けていたこの女の子は、その父親は「無罪だ」と法社会が認めたことで、
この後の長い人生をどう乗り切っていくというのでしょうか?
この状況下で「抵抗しなかった、あんた、悪いよ」。と言われちゃったら
絶対に立ち直れないどころか、私だったら、そんな社会がいやになって、
誰かれ構わず攻撃したくなる、それくらい社会に対して憎悪が生まれると思います。
映画「ショート・ターム」の主人公のグレイスも
同じ状況にあった女性です。
児童保護施設でケアテイカーとして働くグレイスは
おひさまのようなボーイフレンドの、
絶大なる信頼とあたたかい愛情すら
素直に受け入れることができないまま、
それでも大人として自分と同じ環境下で
静かに苦しむ小さな女の子の声なき声に耳を傾けて、
なんとかして救おうとするのですが、
やはり社会や法のルールの前に、
涙で立ちつくしてしまいます。
そんな時、自分を虐待した罪で
服役を終えたその父親が
10年ぶりに家に戻るという局面が訪れます。
この一連の場面のクレットン監督の目線には
「他者への真のやさしさ」とはそういうことかと
心打たれるばかりです。
傷ついた人が再生するときに必要なもの、
を教えてくれました。
それが私がこの映画を買い付けた理由です。
「性的虐待の父親無罪で考える 筆者中学生時代の屈辱と悪夢」
(日刊ゲンダイ、ファクトチェックニッポン)の筆者、元NHK社会部記者、フリージャーナリストの立岩陽一郎さんをお招きして『ショート・ターム』の上映と、児童保護、日米の違いなどをトークするセッションは、4/19(金)の夜、渋谷です。
「ふーん、なんか関係なさそう」、って思っても、
ちょっとこの先、読んでみてください。
立岩さんの立場は「法改正が必要」です。
こんな凄惨な事件は、自分の人生や生活にはあまり関係ない、、、、
と思っている人がほとんどだと思いますが、インクルーシブな社会を考えるときに、
「いや、結構、そうでもないよ?」というのが私の立場です。
性犯罪に限らず、幼い頃に持った、人には言えないトラウマを抱えて、
おとなになっても、社会や人間関係にうまく順応できない人は、
結構な割合でそこかしこに存在しています。
そして、ちょっとしたことでつまづいたりして、
実はうまく生きられていません。
「人間が人間らしく、明るく暮らせる社会を!」なんて
極めて当たり前のことを、わざわざ国連が「#SDGs」とか言って
目標を掲げないと実現できない大人しかいない社会なんて、
まだまだ未熟だなと思います。
いや美しい目標を掲げたところで、大のオトナが
こんなとんちんかん判決を出すシステムになっているのが日本社会の現状ですから、
だから私たちはもう「自分で考えて」自分が最後の一人になっても、
それでもやさしい行動をするしかないのでは?と改めて思わされました。
こどもって、こどもなんだから、
のびのびと、清々しく
毎日を過ごした方がいいに決まってる、と思いませんか?
大人になったら、子供のころほど、のびのびとしたり、
毎日全力で楽しいっ!とか、
そういう素直な日常はどうしたって失いますよね。
だけど、子供の頃に、そういう環境を経験してないまま大人になったら、
次の子供たちにそういう環境を作ってあげられない大人になると思うんです。
子供たちをとりまく社会の環境を守ってあげるのは、
大人の責務だと思うんです。
他人の子とか自分の子とか関係なく。
先日も三つ子の我が子を殺した母親のニュースが話題になってました。
家の中で孤立してるおかあさん一人では守れないものがあるとしたら、
他人が子供たちににできることは、なんでしょうか?
立岩さんと、みなさんと一緒に
考える時間にしたいと思います。
答えは出しません。
ぜひ、いらしくてください。
【東京・渋谷会場】
『ショート・ターム』ピクチャーズデプト・シネマセレクション
4/19(金)@渋谷・朝日メディアラボ 18:30〜開映
https://t.livepocket.jp/e/st12_shibuya
実施にあたり、朝日新聞 2030 SDGsで変えるさまのご協力に感謝いたします。