監督についてひとまえで持論を展開していたら、 目の前に監督が現れたので、慌てた話。
昨年9月末から始めた地元・逗子での上映会も、
ほそぼそと、でも気づけばもう10回を終えた。
今日の映画は『ヨコハマメリー』
地元でなじみが深い都市伝説のメリーさんとあって、
映画の情報を聞きつけて見に来てくれた人が多かった。
ありがとうございます。
アート映画やドキュメンタリー映画などは、作り手のメッセージ性が強く、
いわゆるアクの強い映画が多いせいか、観客側の感受性が試されるようなところもあるのがクセモノで、うっかりぼんやり見ていると、置いてきぼりを食らうこともある。
そんなとき、ちょっとした「映画の見方のヒント」みたいなのを事前に心構えとしてもっていると、「なるほど」と思ったあとに、じわじわと自分なりの解釈、咀嚼ができてきて、映画鑑賞が数倍楽しい体験に変わる。
・・・と思っているので、ピクチャーズデプト・シネマセレクションでは
映画を見る前に、ちょっとしたその映画にまつわる裏話をシネマトークしています。
今日は、メリーさんがヨコハマから消えたあとに、
いわゆる「対象者が不在」のまま映画を作り始めた監督の意図について、
私なりに感じたことなどをトークしてみました。
いざ上映を始めようとしたとき、なかなか席につかない若い男性が入り口付近に立っていて、「どうぞ前のお席が空いてますよ」と案内したら、「あ、なかむらです」
一瞬、どちらのなかむらさんで?と思ったものの、
次の瞬間、「あっ!中村監督!」
逗子でなにしとんねん?と気になったのか、ふらりと立ち寄ってくれた様子でしたが、すかさず、舞台挨拶と上映後のQ&Aまでお願いしちゃいました。
映画の製作者が何を考えているか?スクリーンを通して、自分なりにあれやこれや考えるのは、とても楽しい映画鑑賞法ですが、その答え合わせを本人に直接できるのは、映画の理解力も高まるし、なにより知的好奇心が刺激されて、映画を見る心の栄養になります。
こんな風に、予期せぬ形で監督がふらりと様子を見に来てくれるのは、
主催としては、本当に嬉しいサプライズ。
そのあと、上映中にロビーで、監督をとっつかまえて、メリーさんのこと、
映画の作り方のこと、配給のこと、本のこと、映画に使った音楽のこと、
あれもこれも、聞いてしまいました。
あ〜、楽しかった。
これだからやめられないわ〜。
戦後の伊勢佐木町というカオスな町と時代の
象徴だったメリーさん。
しばらくメリーさんのことばっかり
考えてしまいそう。
あとからじわじわと味が襲ってくる、
なんとかイカみたいな映画、
好きです。
すてきな映画と、興味ふかいお話。
中村監督、ご来訪、ありがとうございました。