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SAKE-BOMB day2 【よーいスタート!のタイミング】

【Staff 1号 from LA】

今朝は朝から残念。
6時半集合だったのに、6時集合と勘違いして、
30分早く起きてしまいました。
おかげで昼夜逆転のジャパンからのメール対応が出来たので良しとしましょう。

本日もスタジオ撮影。
駐車場に入ってくるとあり得ない角度で止まっている車が。。

いやいや、せめて線の中に止めるように努力しようよ…(笑

明るくなってきたなぁと思って、
ふと上を見上げるとお月さんが出てました。
さ、今日も頑張るぞ、ということで。

まずは、ゼネラルスペースと呼ばれる、朝ご飯&飲み物、軽食が置いてある3Fまで登ります。
朝一の確認は、ラインP&演出部チームの部屋の隣壁に貼ってはる、
SHOT LISTS, CALL SHEETS, SIDESと並んだ3つの資料を確認。

それぞれ今日撮るシーンのカット割、予定表、そして今日の撮影分の脚本プリントアウトが入っています。

そう、日本では台本はキレイに製本&背綴じされてキャスト&スタッフに配られますが、
合理的なアメリカ現場では、基本プリントアウト。

しかも、大体みんなフルページ印刷した脚本なんて持ってません。
必要な部署の人間が、このSidesから当日撮影分の脚本プリントアウトを取って、確認するくらい。
もちろん監督もこれを使います。

というか、現場でほとんどこの脚本すら持っている人が少ないのです。
良くも悪くも担当部署がそれぞれ把握しているのか、それとも自分の仕事に専念しているのか、
現場で脚本とにらめっこしてるのは、日本では記録さん、スクリプターと呼ばれる、
Script Supervisorのジェシーくらい。

逆にこの人が細かくチェックして、何か困ったらセリフの確認や小道具美術の置き位置、
前のカットとのつながりなどを細かく指示するのですが。
これも日本の現場とは大きく違うなーと思うわけです。

それと、初日からなんか違和感と思っていたんですが、
どうもカチンコの入れ方が違うんですよね。

こちらではスレート(スティックとも言うらしい)と呼ぶのですが、
日本では、本番の準備が整って、現場がOKと判断したら、
2ndの演出助手が「本番!」と声をかけて、カメラ&録音が回って、
監督が「よーい、スタート!」と言うと、演出部(大体4thが)カチンコを鳴らすわけです。

しかーし。

こちらでは、本番の準備が整うと、というか撮影する構図と動きが決まると、
まず、「pictures up!」と助監督が言います。
要は構図が出来たよー、みたいな意味のようです。

そうすると、カメラチームが「Rolling」、録音チームが「speed」とそれぞれ回り始めましたよ、
と告げるわけです。

そしてここから大きく違うのが、監督のスタートの前に、
まず撮影部の助手がスレート(カチンコ)を入れます。
その後、良きタイミングを計って、監督の「Action!」があって、俳優が演技を始めます。

何が大きく違うかって、日本では本番が始まってカチンコが鳴らされるわけです。
そうすると、カチンコに書かれたその文字がキレイに見えないといけないので、
俳優さんのアップのショットを撮るときなんかは、
フォーカスの合ってる、その顔の目の前でカチンコを鳴らさないといけないわけです。

しかも、鳴らした後は、カメラに映らないように逃げなきゃいけないわけで、
セットにつまづいたり、カメラに見切れようもんなら、そりゃあまあ大変なのです。

そんで、顔の前でカチンコを鳴らすわけですから、
これからいよいよ演技しますよ、と準備している俳優さんの邪魔をしてもいけないわけです。

これが慣れない新人の演出部だったりした日にゃ、
エラい音で気持ちよく「カンッ!」とならすのです。

岳サンにも聞きましたけど、あんまり大きな音で鳴らされると、
耳が「キーン」ってなって、感覚失うくらいだそうですよ(笑
ベテランの俳優さんなんかになると、そりゃあまあ愛の指導が入ったりするわけですね。

そりゃ日本では、このカチンコの打ち方っつうのがかなりの技術を要するのも分かりますよね。
登竜門ですよ、まさに。

一方、アメリカでは、まずこのスレート(カチンコ)を入れて、
その後タイミングを見て監督がスタートをかけるので、
誰も慌てることなく、本番が始まるのです。

別にフォーカスが遠くを狙っているショットでも
先にスレートを入れるので、まずはスレートにフォーカスを合わせて、
落ち着いて本来撮るべき対象にフォーカスを合わせて、準備OKとなるわけです。

どっちが良い悪いではないんでしょうが、
ここにも大きな違いがあるなー、と。
岳サンともこのカチンコの入れ方には、違いますねーとしみじみ。

日本では演出部、アメリカではカメラチームが担当することなどからも
カチンコを打つという意味合いが全然違うのかもしれませんね。
その違いをぜひ、日本の撮影で逆に調査してみたいところです。

【今日のスタッフ】

録音(Sound Mixer)のTravis Code。
優しいのか気を使い屋さんなのか、目が合うといつも話しかけてきてくれます。
でも、超速英語で「pardon?」な感じ。
映画のFinanceを学びながらも、なぜかSoundもやっているという変わり者。

そんなTravisの今日のTシャツがこちら。

またまた冗談キツいTシャツ来てるねーなんて軽い気持ちで聞いたら、
「I will never be a father.」とマジメに返されて、
リアクションに困った、昼下がりなのでした。。。