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パリ出張でユーロスターに乗ってみた。速かった。

またしても2ヶ月くらい前のパリ出張のつれづれです。最近、ようやく週末にお休み取れるようになったので、書きためをぽろぽろと出力中です。時計を少し前の冬に巻き戻して読んでみてくださいね。

February 28, 2012

さて、今日は、ロンドンのSt.Pancras駅からヨーロッパの新幹線ユーロスターに乗って、まだ花は咲かない寒空の花の都パリまでやってきました。ユーロスターでロンドン〜パリまで2時間15分。とにかく平原。起伏の激しい日本の東海道新幹線とは風景がまるで違います。

St. Pancras, Eurostar Terminal in London



東京から名古屋に行くような感覚で、パリまでひとっ飛びできます。早朝発の列車だったせいか、車内はスーツ姿のビジネスマンばかり。車内では、飛行機みたいな、お食事のサービスがありました。

へぇ〜。

Meal Service just like economy class on airlines.

パリへの小旅行の目的は、カンヌ映画祭ともろもろ今年を取り巻く状況について情報交換をしたり、フランスの配給会社やセールスエージェントと、2012年〜2013年にpictures dept. がハンドリングしていく作品についてPitchしたり、そして、今年の日本映画事情あれこれを情報交換したりと、仕事モード全開で、2日半びっしりミーティングが入っていたので、全くプライベートな時間は取れませんでした。ザンネン。パリなのに。

それでも、ユーロスターの到着口、パリ北駅から、すぐにメトロに乗り換えて、東へ西へとパリ中の映画会社を訪ねることで、パリのいろんな地区の表情が楽しめます。パリは中心地にいればどこへ行っても街並みがパリっぽいと言えばパリっぽいので、十分に観光した気分は味わえた感じです。

普段、どの土地に行っても、すぐに私の姿は風景に馴染んでしまうらしく、ロコと間違えられて観光客に道を聞かれ、超方向音痴な私としては、「いやいや、こっちが聞きたいくらいでっせ」となることは多々あっても、いわゆる観光客が出くわすあれこれの危ない目には合ったことがない私なのですが、(なんといっても、日本の航空会社のクルーにも、隣の咳に座った英語がいかにも達者そうな日本人ビジネスマンにも、だいたい英語で話しかけられますから)今回ばかりは、2回、危ない目に遭いました。

おそらく、コロコロと引っ張る小さなスーツケースを持ったまま地下鉄に乗ったりしていたので、「おのぼりさん」丸出しだったのだと思うのです。そういうのを、騙し屋さんたちは、ほんとうに気づかれないようによ〜く見てるんだな〜と変な感心をしてしまいました。。。

1つは、ユーロスターのターミナル駅、パリ北駅に到着直後のこと。

到着後20分以内にメトロを2つ乗り換えてSt. George駅まで移動しなければならずかなりアセっていたので、周りに目がいっていなかったのが敗因。北駅を出てすぐのメトロの切符の販売機に並んでいたら、私の前に、並んでいた男性が、自分の順番が来たら、私に「どうぞ」と譲ってくれるのです。

「買わないの?」とか言いながら私が切符を買おうとすると、切符の買い方を懇切丁寧に教えてくれたあげく、(わざと)フランス語の表示に変えて、購入手続きを手伝ってくれるわけです。風貌から言って、そんなに怪しい風でもなかったので、もしかしたら駅のサービスなのか?なんて、一瞬思い込んでしまいました。

日本だと、銀行のATMとかに操作に不慣れな人のために係員がいて手伝ってくれますよね?北駅には、諸外国からの到着客が多いのでそういうサービスをやっているのかな?なんて、単純に思い込んだのです。今から思えば、なんとお人好しなニホンジン!

ただひたすら、甘い、甘かった!

こんな考え方が、いかに平和ボケの日本人的で、甘かったか、この日、2つめのミーティングが終わるまで、気づきませんでした。

「今日は一日中メトロに乗り降りするから」と、15ユーロくらいの「一日パス」を購入しようとしたのですが、私が高額紙幣しか持っていなかったために、販売機で紙幣が使えず、クレジットカードを取り出そうとしたところ、この「勝手にサービスおじさん」は、自分のNAVIGOカード(PASMOのようなカード)で、「勝手に」買ってくれたのです。さすがに「あれれ?」とは思ったのですが、画面の表示では、ちゃんと1Day Passの購入画面になっていたし、後ろには長蛇の列。(もたもたと揉めるのも悪いなぁ)という状況で、で、現金で払ってくれればいいよ、みたいなこと言うので、20ユーロを渡して切符を受け取り、6ユーロくらいおつりをもらいました。このときも、ニコニコしつつもおつりをくれそうになかったので、「なにすかしてんの?お釣りよお釣りっ!」とスゴンでお釣りをもらい、「あ〜、まったくウカウカできないわねっ!」と満足げにすらなったワタシ。ひとたび決着。

さてさて、Google Mapを見ながら目的の会社までと地下鉄を乗り換え、急がなければなりません。

パリのメトロは入り口だけ自動改札があり、出口での改札はないので、ひとつめの地下鉄には問題なく乗れた私。次の乗り換え駅で「入り口」改札にこの「1 Day Pass」を入れたところ、がっつりブロックされて扉が開きません。

おや?

ガシーン(ブロックされる音)

あれ?

ガシーン……

何度やってもだめなので、駅の係員に「なぜか入れないんですけど」と申し出てみたところ

「これ、1 Day Passじゃないからダメ」

と冷たく言われてしまいました。

ここでようやく事態に気づいた私。

「アイツ!切符をすり替えやがったな!」

というわけで、4ユーロそこそこの片道切符に14ユーロも払ってしまった私。周りに並んでるフランス人も、「一部始終見てたんだから、注意してよね〜、こっちは異邦人なんだからさー」なんて思っても後の祭り。

とは言え、10ユーロ程度の被害で済んだのは、あまりに旅慣れすぎていて、自分の身は自分で守る、という鉄則を忘れていた私への神様からのちょっとした警告だったのかもしれません。

その後、同じ日に今度は観光客で溢れかえるコンコルド広場にて。メトロから地上に出たところで、さてと、とiPhoneでまたまたgoogle mapを見ながらあたりをキョロキョロしてたら、前からこぎれいなオバさんがやってきて、私の足下からなにかを拾い上げました。

とってもステキな広場だけれど、観光客のメッカなので…

オバさんが拾い上げたのは、ちょっと年季の入った金の指輪。裏になにか刻印がしてあります。誰かが落としたものでしょうか?

するとそのオバさん「あら、落とし物だわ」といって自分の指にその指輪をはめてみたのですが、サイズが合いません。そして私に「ザンネン、私の指には合わないわ。きっとこれはアナタへの神様からのプレゼントかもしれないわね。グッドラックだわ。よい一日を」といって私に強引にその指輪を渡してスタスタと行ってしまいました。

「はっ?要らないんですけど、、、どうしよう?」としばらくその指輪を見つめて途方に暮れていたところ、(だって、ポイっと捨てるにはあまりにも立派すぎる指輪だったのと、なにか刻印もしてあったので、大切なものかな〜?なんて日和ってしまったのですが…)

しばらく呆然としていると、すぐにそのオバさんがスタスタと戻ってきて、「それあげたんだから、お金を頂戴」とせびられました。一瞬なんのことか判らず、「は??ってかアンタが勝手に押し付けたんでしょ。なんのお金?」と言ったら「今夜食べるものを買うお金がないの」とのうのうと言われました。知らんがな!

さっきの北駅での出来事にまだ腹をたてていたところだったので、「んなこと知るか!こんなことに知恵使うくらいなら十分稼げる能力あるから、自分で働かんかい!」と「日本語で」言ったら、「ちっ」とか言いながら、すたこらさっさと逃げていってしまいました。

こんな風にいわゆるガイドブックにその土地の注意事項として書いてあるような目に遭遇したのは以前イタリアでパスポートをスラれて以来、15年ぶりくらいのことなのですが、海外のこの手のトラブルは、いづれも手口がお見事!で、きょとんとしているうちにヤラレますので、みなさんも、ぜひ気をつけてくださいね。日本人は善人気質の人が多いので狙われやすいというのはどうやら本当のようです。感心するほど、あざやか、おみごと!な手口です。

さて、そんな出来事にもめげず、カンペキなる移動計画書を元にParis Nord, St, George, Concorde, Savile-Babylon, Solferinoと移動した1日目。パリのメトロは、進行方向さえ間違えなければ、案外カンタン!ということに気づきました。

訪問先の会社では、それぞれのオフィスの立地や建物の雰囲気など、配給会社やセールスエージェントのオリジナルカラーが色濃く反映されていてとても興味深い訪問に。

訪問先の担当者が、それぞれ地元の美味しいビストロやカフェに連れていってくれるのでもし自分でガイドブックを頼りに歩いていたら出会えないようなお店を楽しむことができたので、かなりおトクな2日半。こういうとき、ローカルに知り合いがいるのはありがたいですね。

しかしミーティングの内容は、単なるSay Hello!な訪問ではなくて、それぞれがなかなかヘビーな内容のディスカッションだったのと、それに続く、これまたヘビーで全然楽しくない会食。慣れないパリの街をぐるぐるしたために、もうすっかりヘトヘトになってホテルへたどり着いたのが夜の12時近く。

ステキなプチホテル。でも寝るだけ。

会食の相手が、パリでも人気のビストロに連れて行ってくれて、カジュアルなフレンチとワインがすこぶる美味しかったのは、食文化がないとしか思えない街、ロンドンから来た私の唯一の救いだった気がします。。。

a bistro in Saint-Germain-des-Prés

最終日にフランス人と結婚して現在はパリに住んでいる知り合いと待ち合わせたカフェは、日本人に大人気らしく、開店前から長蛇の列。TOKYOの食文化も世界の中でもかなり洗練されているので、確かにパリはなんでも美味しいけれど、日本には、世界中のオイシいものが集っているので、もはやそれほどの発見や驚きがなくなっているのも事実。

そんな中でもこのカフェは、あれもこれも本当に美味しくて、美食大国の日本人に大人気な理由がよくわかりました。日本の女子にはこのお店のスイーツが特に大人気。私はパリですっかり体調を崩してしまったので、食べられなかったのがザンネンでしたがお隣の席に運ばれてきたデザートは、本当においしそうでした。友人曰く、パリで一番予約が取れない店だそうで、次回、ぜひ夜の部にチャレンジしてみたいと思います。

中山美穂とかTBSのアナウンサーがいそうなビストロカフェ

ただ、パリの有名カフェは、だいたいにおいてギャルソンの態度がLでいちいちイラっとするので「それがおフランス」と、そのあたりはあらかじめ覚悟の上で行かなければならないのがタマにキズ、と言えますね。でも、いちいちムっとせずににギャルソンとの会話を楽しんでいると、あちらのココロも開いてきて、おまけにシャンパンをもう1杯、注いでくれちゃったりもします。フランス人は入り口ハードル高いけど、飛び込んだらなかなか「気のイイ奴ら」なのかもしれません。

そんなこんなで、あまりお楽しみは満載ではなかったお仕事旅でしたが、また帰りもユーロスターに乗って、陸で国境を越えてロンドンに帰ってきたところ、St. Pancras駅舎で、五輪のマークがどどーんとお迎えしてくれました。そうか、オリンピックだ、と思ってロンドンっ子に聞いてみたところ、「え?オリンピック?現地ではそれほど大騒ぎしてるわけではないなぁ」とは言ってはりました…。メディアが見せる国の姿と、市井の肌感覚はやはりココでも違うのでした。

パリっぽい風景を強引に見つけて街を楽しみながらひたすら疾走の2日間

ユーロスターは、ココでネット予約できます。現地の発券も超カンタン!