top > blog > world cinema industry > 08.3月.2011

映画なんて、買っチャイナの件

Tuesday, March 8, 2011

madori.jpg 

ガッキーの十六茶のCM、かわゆす。


中国には、
The State Administration of Radio, Film and Television
(
通称サーフトSARFT)という、いわゆる政府の検閲機関があって、
これまたいろいろと統制が厳しいので、
外国映画が中国に参入するのはタイヘン!
という話は以前書きましたが、
中国の映画業界の超拡大路線にひっぱられ、
最近のSAFRTさんは、どうも右往左往しているご様子。

 

先週発表になった新しいレギュレーションによりますと、

今後は「プロダクト・プレースメント」が規制対象になってくるとか。

現在、状況をリサーチ中だそうですが、
背景には、観客からのクレームがあったようなのです。

 

プロダクト・プレースメントというのは、
映画を製作するときに、ブランドとタイアップして

作品の中にそのブランドの商品を使用するコマーシャル手法のことですが、

映画製作側にとっては、このプロダクト・プレースメントすることで
ブランドから
広告費を頂戴し、制作費の足しにするという、
いわゆるひとつのファイナンス方法のことでございます。

 

日本で言うと、最近では、
産めない女の苦悩を救うために人類の掟の境界線を越えてしまう女医さんを
菅野美穂が熱演した『ジーン・ワルツ』で、
なんだったか忘れちゃったけど、
ブリックパック(古いか?)の飲み物を、
役者さんが露骨に飲んでいて、
あらまぁ、露骨なプロダクト・プレースメント、
と思ったことは覚えているのですが、

それが何の飲み物だったか忘れてしまったので、
あまりプロダクト・プレースメントの意味なし、
だったかもしれない例がありました。
おそらく、ほとんどの方は気づいてないのではないかと思います。

 

また、フラン・フランがおうちのインテリアをすべてコーディネイトしたという、
ガッキーが初めての一人暮らしをするので
治安のいいところに住みたいらしい『恋するマドリ』という映画も、
プロダクト・プレースメントでしたね。
この場合は、Franc Franc Presentsとなっているので、
プロダクト・プレースメントというよりも、
冠(かんむり)提供クレジットでした。

 

ほかには、
ちと映画が古いのでこれもピンと来ないかもしれないのですが、

トム・ハンクスの『キャスト・アウェイ』では、
もう話の中にFEDEXががっつり入ってきていましたので、
あれは判りやすい例だったのでは?と思います。

 

で、話は中国ですが、

このプロダクト・プレースメントという宣伝・資金調達手法は、

中国映画界では比較的新しいやり方。
なので、規制は混沌としていて、やったもん勝ちみたいな状況になっており、
中国で去年一番の興行成績だった『唐山大地震』に、
あまりにも露骨な、車、銀行、保険会社、アルコールブランドの
プロダクト・プレースメントが出てきたので、
観客からクレームがきたということなのです。
この監督(Feng Xiaogang馮小剛)の前作『If You Are The One』では、
な、な、なんと、製作費の半分を
プロダクト・プレースメントだけで賄えちゃった、
ということなのです。
えーーー?イイな、イイな。うらやますぃ。
こうなったら私もいま企画中の時代劇に、
最新型のビイエムとか走らせちゃおうっかな(ウソです)。

 

広告業界から見たら
まさに映画は買っチャイナ、な状況に、
政府が追いつけ追い越せで、
法律を後付けしているカオス真っただ中の中国なのでした。

 

ちなみに、中国のプロデューサーがこういう資金調達に頼る理由のひとつに、
中国でもすでにDVDとTV権販売の市場が減少しつつあり、
映画を作ってもどこで儲けるの?な状況になっていることも挙げられます。
そもそも去年、500本の国内産映画のうち、
劇場公開されたのは100本だけですからね。

 

そんなこんなで、あっちもこっちもタイヘン!な映画業界ですが、
【大不況の時に革新的なことをやったものが次の時代の覇者になる】のは、
歴史が証明している真理なので、
プロデューサーのみなさん、
がんばっていきまっしょい(by真野きりなはいづこへ?)