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先手必勝、ミッション•コンプリート


Saturday 12, February 2011
in BERLIN



2日目の金曜日からは、参加者の数も増えて、
賑やかになってきたマーケット2日目。
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今回の私のミッションは、
1日目にひとつ、2日目に2つ、大事なミーティングを仕込んであり、
それがスムースに話が運べば、用は済んでしまうという出張だったのですが、
おかげさまさまで、3つともスムースに運び、
2日目からはいきなりヒマになってしまう、という
なんとも理想のマーケットとなりました。
日本の映画はそうそうバンバンと売れないもんですから、
今までは、比較的マーケットの最後の方の「落ち穂拾い」のタイミングになると、
やたらと小さいテリトリーのバイヤーが情報を集めに来て、
次のマーケットに向けてせっせと営業といったパターンが多かったのですが、
そういう中で学んだことを今回はすべて仕込みをしておいたおかげで、
先手必勝パターンに持っていく事ができ、
クライアントさんの意向も十分に満たされた、
ということでかなりホッとしています。
今日からは心おきなく、
いろんな映画を観たいと思っています。
今回は、現地の通訳をベルリン在住のレイくんにお願いしているのですが、
若く見える彼は実はもう三十路を回っていて、
なかなか細かい気配りと機敏な機動力を発揮し、
大きな戦力になってくれています。
彼はいま、ドイツの大学院で、
映像から受ける人間の感情と体の働きについて(?)の研究をしているそうです。
なんのことかよくわかりませんが、映画を見て、泣くのは、
感情が先か?涙が出るのが先か?といった論文を書いているとか?
私にはサッパリの研究内容ですが、研究の舞台が
ドイツの大学院の哲学科ということだそうなので、
難解なテーマも妙に納得です。
聞けば、このレイくん、日本の大学を卒業後、
ベルリンの中華料理店でバイトしながら2畳=月60ユーロの部屋から
ドイツ生活を始めたそうです。
お風呂に入りたいときは、近くの線路まで行って石炭を盗み、
タタタタタタっとリヤカーで持ち帰り、
小さなボイラーでシャワー1回分のお湯を沸かしたという生活から、
今では、2部屋の部屋を借り、愛猫を養うまでに出世したとか。
中華料理屋さんで、1時間4ユーロの時給で一日13時間働いているそうです。
「猫がいるんですよ。お留守番してるんです。
 猫、飼えるようになったんですよ。アハっ。
 え?親の仕送りはありません。ドイツの大学って学費が
 1学期50ユーロなんですよ。安いですよね?
 ひとりで払えますよね。ぐふふ」。
いまどき、ずいぶんとガッツのある学生さんですが、
彼には今の若い人についてまわるある種の悲壮感、
将来展望のなさはまったく漂っていません。
むしろ、どうなるかわからない明日がくるのを
なんだか、楽しそうに待ってる感じ。
「僕の住んでるエリアの失業率は50%なんですよね」とか、
「就職?どうなるんですかね。30歳ですけど、一応、新卒ですよ。アハハ。
 日本か、ドイツか、どちらか拾ってくれる方で就職します。
 できますかね?アハハハハ」。
といいながらいつもニコニコしています。
ドイツの貧乏生活から学んだであろう
【人間いざとなればなんとでもなる】という、
いいエネルギーの開き直りを感じます。
こういう図太さ、逞しさも、生きていくには必要かもしれませんね。
「もともと厨房だったんですが、フロアの担当者が辞めたので、
 今は僕がフロア担当です。なかなかフロアが合ってたのか、
 主人はうちだったらいつでも雇ってやるぞ、
 と言ってくれてます。アハハ」。
「あ、明日、中華、おごります!」とバイト先に誘ってくれたので、
ひとつ楽しみが増えました。
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迫力あるお姉さま二人を前に、ディナーの席で、
アップルシナモンミルクシェイクを嬉しそうに飲むアハハのレイくん。
おこちゃまメニューを頼むもんだから、
クマちゃんのマドラーがついてきてしまいました。
写真を撮ってブログに載せてやるぜ、と悪態ついたら、
しっかりクマちゃんは隠してしまいました。
早口なので半分くらい何言ってるかわからないのが、
タマにキズのベルリンのレイくんでした。
以上、ベルリンから日本人留学生の実態についてのリポートでした。