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ふんどし一丁、海外で大人気?!

Sunday, 30 January, 2011 
 IFFR-logo.jpg 

この映画祭ロゴ、大好きなんです。 Tシャツやトレーナーなど買いまくってしまいました。

オランダで開催中のロッテルダム映画祭で、
井口昇監督の『電人ザボーガー』がワールドプレミアされ、
監督がふんどし一丁で登壇、豆まきサービスで大盛り上がり!という記事を読みました。
【井口昇監督のこと】
大人計画の秘密兵器、井口昇監督は、ヨーロッパでもそうですが、NYでもカルト的に人気。
美しい少女が実はミュータントだったので戦うぞ、とか、
土偶ガールが現代へやってきてヒッキー少年を助けるぞ、とか、
ゲイシャのロボットが戦う話とか、
片腕がマシンガンになってる美少女の話とか、
で、大人気。
とにかく海外によく売れる作品を連投する異色監督です。
こんなにやってることにブレのない監督もめずらしいので、
もうしっかりいわゆるファンタ系の固定ファンがついてます。
いまんとこ、世界中で固定ファンがついている日本の監督って、
世界のキタノと井口さんだけじゃない?と言っても過言ではないかもしれません。
キタノはアート系。イグチはファンタ系。
両極端ですが、突き詰めているので「量」が「質」に変わって、
定着してくるのでしょうね。
ちなみに井口監督が支配するファンタ系というのは、
ファンタジーやホラー、サイコスリラーといった映画ばかりを集めた映画祭、
それを支持する映画ファン、という、コアコア映画ファンたちのことです。
世界中にそういう映画祭がたくさんあるので、
このファンタ系から絶大なる指示を得ている井口監督の海外行脚は、
年がら年中、さぞ忙しいのでは?
もはや日本が誇るフリーク・カルチャーと言っていいと思います。
ただし、ファンタ系は好き嫌いは分かれますし、
もちろん、マーケットサイズも小さいです。
井口監督の公式サイトも
「きっと男子ばっかり観るだろうから敢えて言うけど女の子集まれ!」
というタイトルになっています。
この監督がスゴイのは、コアのファン層内でしっかりと定着していることです。
つまり監督の次回作を楽しみにしている人が世の中にいる、ということ。
【外国人に人気。ふんどしのこと】
確かおととしNYアジアン・フィルム・フェスティバルでも、
ディレクターのマーク・ウォルコウ氏が、
某社のアシスタントと一緒にふんどし一丁になり、
も のすごく嬉しそうな写メを送ってくれたのですが、
外国人にふんどしはとてもウケがよいみたいです。
どうやら井口さんチームは、どこで舞台挨拶するときも、
ふんどしボーイズとなって登壇しているらしいのですね。
とにかくニッポンのふんどしは、海外でも人気。
なんでなんでしょ?
女子にはその爽快感はちっともわからんのですが、
ロッテルダム映画祭は、こういうフリーキーなパフォーマンスを
すごく素直に受け入れてくれる映画祭です。
映画館にくるお客さんは決して若い客層ではないんですが、
いや、かなりご高齢な方も多いのですが、
ドヒャドヒャ笑ってくれるのです。
【ふんどしをスっと受け入れる、ロッテルダム映画祭のこと】
2009年にオダギリジョー初監督作品『さくらな人たち』が
ロッテルダム映画祭に招待されたときには、
オダギリさんはじめ、河原さぶさんと山田浩さんの主演3人は、
「時計じかけのオレンジ」ばりに、3人お揃いで黒ずくめ+ムーミンパパ帽子で登場し、
これもまた、映画好きなロッテルダムのファンにウケてました。
同じ格好をしていても、オダギリさんはキマってるのですが、
さぶさんと山田さんは、ちょっと・・・なので、トータルで言えば、
ヘンな3人組になっちゃってました。
【記事】あのイケメン俳優も来た!オランダの国際映画祭。
あ、ロッテルダムってそんな雰囲気の映画祭ですよ、というのを、
『アジアの純真』で現地入りしている脚本家の井上淳一さんと
主演の韓英恵ちゃんに伝えるの忘れてたっ!
きっと今頃井上さんが、
「くー、こんなことなら、俺もなにか仕込んでくればよかった」と
悔やんでいるに違いありません。
さすがいろんなことに自由な国、オランダ。
常識からはみ出してても、ノー問題!
【コアカルチャーとビジネスのはなし】
さて少しビジネスの話をすれば、
タケシ映画の市場とイグチ映画の海外市場は、ターゲットが違います。
市場規模ももちろん違います。
いままでは、映画と言えば、まさにマスのメディア、
「広く浅く」が商売のターゲットでしたが、
これからは、小規模でもそこにちゃんとファンを作ることができれば、
成立していくようになりました。
この二人の映画の歩く道はそういうことを明確に示唆しています。
大切なことは「適正サイズ」。
どこで見せるのか?誰に見せるのか?
その場所にはどれくらいの人が固定客としているのか?
そしてそこにリーチして、収益を上げるために
適正な「原価」はいくらなのか?
こういったことを、作るときからしっかりと考えて計画していけば、
必ず「ヒット」になると思います。
ヒットってなんでしょうか?
多くの人数を稼ぐこともヒットですが、
今の時代は、人数は少なくても人の心に深く刺されば、それもヒットです。
大事なことは、そのサイズで採算がとれるかどうか?を、
最初に考えることだと思います。
そんなの当たり前じゃん、と思われるかもしれませんが、
ここが映画のマジックで、
案外「作りたいから作った」作品って多く存在するものなのです。
もちろん資金調達のプロセスとしてリクープ計画のスプレッドシートは作るでしょう。
ただその試算の目的は、投資を回収するため、ではなくて、
制作に踏み切るため、であることが多いのも実態です。
映画がもつ芸術面の落とし穴です。
でも…それを考えなければいけないのは、監督やクリエイターではありません。
プロデューサーです。
クリエイターの才能とアート性を、ビジネスの舞台で昇華させる、
そういうプロデューサー・マインドが、
これからはさらに必要とされてくると実感しています。
プロデューサー・マインドがあれば、それは監督自身でも構わないし、
軍師のごとく監督とパートナーシップを組む存在、どちらでもよいと思います。
若い世代で映画監督を目指す人は、
今のうちにそういうパートナーを探すクセをつけておくか、
または自分にプロデューサーマインドを植えてしまうのが、
エバーグリーンな映画監督としての成功の秘訣だと思います。
なんだか、今日はふんどしの話から思わぬ方向へ展開してしまいました。。。
神がかった勝ち進み方で優勝したニッポン代表。
彼らに迷いはありませんでした。
映画界にもそういう勇気ある若い才能が、彗星のごとく登場してくる日は
もうすぐなんじゃないか、とワクワクしています。
では、よい日曜日を!