パリのキレイなお姉さん
July 2, 2010 – PARIS, BERCY
パリでのお仕事初日は、ルーヴル界隈の会場でのワークショップ。
いつもならタクシーでピュっというところだが、今回はパリ滞在が長いので
ちょっとは地理を覚えようということで、パリジャンに混ざって、メトロ出勤を試みる。
ホテルのあるベルシーから、ピラミデ駅まで14号線で3駅。
案外揺れるし、混んでるのに、吊革とか、つかまり棒とか、ないのね、パリのメトロは。
ゴトンのたびに何度か人の足を踏んでニラまれ、パルドン♪
ところでこの午後、メトロではなくてエキスポ会場に行くB路線電車の中で、
パリの女のひとはやはり自己主張が強いと思わざるをえない出来事に遭遇。
それは電車の中で,
【死に物狂いに席を取ろうとしたオバサンVSその席にもともと座ろうとしていたお姉さん】の
壮絶かつ沈黙のバトル。
ドア開閉直後、ドドドと私の隣の空席をめがけてお姉さんは、
椅子の前に片足を滑り込ませ、「ここはアタシの」とアピール。
オバサンは気付かないフリで、お尻をじりじりと椅子の前にすべらせ
一気に腰を下ろそうとしますが、お姉さんは一歩突っ込んだその足をどけようとしません。
そのまま1分が過ぎました。
長い、あまりにも長すぎる。もう次の駅についてしまう!
オバサンの方が後から来たんだから、そろそろ諦めてもいいのでは?という時間の経過。
しかしオバサンは負けずに、お尻で少しずつお姉さんの足をどけようとします。
結局、知らん顔を貫き通してこの椅子取りゲームはオバサンの勝利。
厚顔無恥なオバサンの勝利はいわゆる想定内。
そのあとお姉さんはその前の席に座って、オバサンを3分間は睨んでました。
めっちゃ怖い目でした。
私はといえば「ってか、ネーちゃん、すぐ前の席が空いてるんだから、
そっちでいいじゃん」、と思ったり、
「口論が勃発しないうちに、私の席を譲ったほうが身のためかしらん?」などと
ドキドキしながら勝敗の行方を堪能させていただきました。
ところが!あんなに必死に席を取ったのに、
オバサンは次の駅であっさりと降りてしまいました。
ええっ?そうなの?
かなり余計なエネルギーを使っているのでは???
日本では「キレイなお姉さんはお行儀がよい」(それは見栄だと思うけど)
ということになっているので、パリのキレイなお姉さんのなりふり構わぬビッチぶりに
もうクギヅケでした。
「てめぇ、ババァ、ふざけんじゃねぇよ、そこはアタシが最初にツバつけたんじゃ、ワレ」
という心の声がハッキリと聞こえてきましたもん。
しかも、オバサンが降りた後には、「チっ」と舌打ち。
お行儀とか、そういうの、何にも気にしてない。あっぱれ美人ビッチ。
その後は機嫌を直して目的の席に座りなおし、
おもむろにバッグから出したのが、日本のレディコミ。
にんまりしながら、ありえない恋愛物語に耽ってました。
そもそも、どうして目の前に席が二つ空いてるのに、
ひとつの席を取りあうのか?が、いまいち理解できないままなのでした。
ところで先月訪れた上海でも、地下鉄の席取り合戦は壮絶でした。
みんな命がけで席をとろうと座席めがけて突進します。
眼の色が違います。ドアが開く前の鼻息が違います。
「あぶねーよ!」というくらい、ドアに接近して開閉を待ちます。
しかしそんなに命がけでゲットした席でも、お年寄り一人乗ってくると、
若い人が一斉に何人も気持よく席を立ちます。ササっと席をゆずります。
妊婦さんやベビーカーの若夫婦にもやさしいです。
確か「優先席」は中国語で「博愛座」と書くということを知って
ステキな言葉だな、と思いました。
まぁ、あのキレイなお姉さんも、フランス人だからというより、
大都会のパリだから、ってことかもしれないな。
都会のストレスって、人から余裕を奪うんですかね。
確かに私も、ヒールをはいていたりすると、
ついつい席をゲットしたくなるので、
もっぱら電車のときはスニーカーです。
ヒールを履いたら、タクる。
それは余計なストレスを避ける知恵でもあり、
立ったり歩いたりするのがキライな私の怠慢でもあります。