共喰い
- 第66回ロカルノ映画祭 コンペティション部門正式出品
母さん、なんで僕を生んだのですか?
あの男の血を引く僕を — 。
第146回芥川賞受賞作、田中慎弥の「共喰い」を映画化!!
カンヌ受賞監督・青山真治が描く、人間の奥底に潜む深い深い闇。
Synopsis
日本を代表する世界的映画監督・青山真治と、芥川賞受賞会見で世間をにぎわせた作家・田中慎弥との奇跡のコラボレーションが実現!!昭和最後の夏の山口県下関市を舞台に、「行為の際に女を殴る」性癖のある父と、その愛人と暮らす男子高校生のひと夏の物語を、なまなましくも格調高く描く。父と同じ忌まわしい血を受け継ぎ、爆発しそうな性的欲求を抱えて生きる主人公・遠馬と彼を取りまく女たち——。幼なじみの彼女、父の愛人、そして戦争で左手を失った母。男たちは欲望をむきだしに、女たちは本音を包み隠してしたたかに生きる。暴力と性、人間の奥底に潜む深い深い闇があぶりだされていき、物語は原作にはないオリジナルのエンディングへ——。いわゆる「原作モノ」の枠を越えた傑作が誕生した。映画『共喰い』は近年稀にみる「本物の映画」である。
Credit
出演:菅田将暉 木下美咲 篠原友希子 光石研 / 田中裕子
原作:田中慎弥(集英社刊) 監督:青山真治 脚本:荒井晴彦 プロデューサー:甲斐真樹
制作プロダクション:スタイルジャム 製作:『共喰い』製作委員会 配給:ビターズ・エンド
©田中慎弥/集英社・2012 『共喰い』製作委員会
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私が物語のクライマックス近くに書いた幻想的な場面を、映画は全く違う形で描いています。ここを見た時、ああ、やられた、と思いました。この場面はこういう風に描かれるべきだった、だからこそあのクライマックスが成立するんじゃないか、と悔しくなりました。さらに、小説の結末を越えたところまで、映画はすくい取ってくれています。それは実のところ、私も書こうとしていたことでした。思い切ってその手前で小説を終らせることで、作家としては達成感がありました。ですが映画はその先を追いかけて、大きな生命力へと到達する女たちを出現させました。
— 田中慎弥