top > blog > Prague 2012 > 21.2月.2012

プラハのマーケット1日目

プラハのコンテンツマーケットが始まりました。
映画のマーケットは、東京の国際展示場のような
イベントホールにブースがたくさん設営されるケースと
ホテルの部屋をセールスエージェントが仮説オフィスとして使うケースとだいたい2種類ですが、
今回はMoenpickホテルの部屋をブースとして使うパターン。

直前まで行われていたベルリン映画祭併設の映画見本市に比べても
もっともっと小さい規模のマーケットで、各国数社と
かなりミニマムに絞られています、

どういう基準なのか判らないのですが
今回、私はなぜかご招待を受けたので
ま、なんでも経験!というつもりで参加してみました。
日本からはもちろん私ひとりなのですが、オールアジアで言っても
フィリピンから1社来ているくらい、あとは西欧諸国が参加者のマジョリティです。

初日の本日は、USやフランスのTV局、そしてロシアの老舗映画スタジオと
ミーティングをしてみましたが、どのミーティングでも感じたことが
「やはり日本はスルーされているな」という危機感です。

日本で国際共同製作をするのは、まだまだいろいろなハードルが多くて
なかなか遅々として進まないことが多いのですが、
諸外国では、もう中国やインドと共同製作が当たり前のように実行されています。
これにブラジルや、アジアで言えば、東南アジア諸国が加わっている感じ。
まさに映画ビジネスは世界経済とシンクロしているのだな、と実感します。

通貨は強いけど国は弱い日本は、
ビジネスフェーズではかなりスルーされている気配。

これは曲解された例ではあるのですが、
ロシアの映画会社のちょっと話し方がコワいおじさんに
「日本にはたくさんゴールドが埋まってるんだろう?知ってるんだぞ〜。
それなのに、ちゃんと追加印税を払ったヤツはひとりもいねえんだ」と怒られました。
「よほどいい加減な会社と組んじゃったんじゃない?相手を選ばないとね」と応戦しましたが、
お金はあるけどクリーンなビジネスをしない、との悪評に、かなりココロが痛みました。
もちろん、みんながそんなに悪人ばかりではないけど、
確かにきちんと印税報告をしない会社があることは否定できません。
それは日本に限った話ではなくて、映画の版権売買ビジネスそのものの「文化」と「慣習」に
多いに問題があると考えていますが、一朝一夕に改善されるわけではないので
少なくとも自分は地道にコツコツと証明していくしかありません。

でも、コツコツと、だなんて悠長なことは言ってられないくらい、
インドや中国の勢いは増しています。
おそらく日本の人が思っている10倍くらいのスピードです。

いま、国際舞台で求められているのは、日本人の判断力とスピードの改善なんですよね。
そして特にインディペンデントの映画業界に求められているのはクリーンなビジネスです。

大きい会社はクリーンだけど、ジャッジが遅い。
小さい会社はジャッジは速くても、ビジネスを知らない

果たしてがっつり根付いたこのジレンマから日本の映画産業は抜け出せるのでしょうか?

いいクリエイターがいない、という訳ではないのに
ビジネスの仕組みが弱くて勝てない。
こんなことでは、ますます日本映画では世界の舞台で戦えなくなってしまう。

以前から日本は相手にされてない感じというのは肌で感じていたのですが、
ここへ来て、ますますその風が増しているのを実感し、
なんだか頭が重たくなる初日なのでした。
クールジャパンとかなんとか、ほんと、スベッてる感じです。

メインストリームに身を置いていると気づかないことも
ローカルへやってくると気づく場合がありますね。
ローカルのこじんまりした場所の方が、
実は、より世界の観客の肌感覚に近いのだと感じています。


チェコにもお寿司やさんがありますが、すきやき、やきとり何でも来いのなんちゃって寿司店です。