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映画の出番です!

Tuesday, March 29, 2011

 

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“otama”s pray for japan


震災ショックから2週間以上が経過しました。

この間、私は、香港映画祭に参加して1週間ほど日本を離れていたのですが、
どうもそわそわしてしまって、映画関連のニュースを書く気にもあまりなれませんでした。
地震と津波に加え、厳しい風雪。自然の脅威をいやというほど見せつけられた上に、
原発や放射能、ついには生命のすべてである「水」にまで影響が及び、
人間の叡智をすべて試されているような出来事の連続に、
世界全体がそわそわした2週間でした。

 

震災の直接的な被害者ではなくとも、
このような見たこともない災害に出くわして、
人間のこころはひどく臆病になってしまっているように思います。

 

そんなときに映画ができることはなにか?ということを、
ほぼすべての映画関係者がいま、
いろいろと知恵を絞って考えているところだと思います。

 

私は映画ができることは
「復興のとき」に山ほどある、と考えています。

 

「映画には人の人生を変える力がある」

 

いままで作品の買付をするときも、
海外へセールスするときも、
映画館の編成やPRを考えるときも、
その信念を少しだけ忘れずに携わってきました。

 

人を笑わせたり、感動させたり、泣かせたり、
そして、ワクワクさせたり…。

 

エンターテインメントの持つ力が、
災害で傷ついた人のココロとカラダを癒すと信じています。

 

クリント・イーストウッド監督の『ヒアアフター』のオープニングシーンが、
今回の災害をあまりにも具体的に想起させるという理由で、上映中止となりました。
これについては「やめて当然」「いや、いまこそ見せるべきだ」と
賛否両論があるようですが、私は、「人の心を動かす力」のある映画は、
時間と共にきっちりと「人の心の中に育つ力」も持っているので、
今、この瞬間にスクリーンから消えてしまったとしても、
すぐにどこかで観られる機会がやってくるのだからアセることはない、と構えています。

 

幸運なことに、映画は、「複製芸術」です。
その「時」その「場」に集約された「氣」がすべて!のライブパフォーマンスと違い、
いくらでも同じ感動を複製して拡げることができます。
権利者さえその気になれば、たくさんのフィルムやデジタルコピーを作って、
一気に多くの人に感動を拡散させることができるのです。
そ れが「映画」というメディアでしたよね。
だから、今はまだ動揺している人のココロがエンターテインメントを求めた時、
そのタイミングを見計らって、複製芸術のメリットを最大限に活かし、
感動の共有体験を、わーっと一気に広めればよいと思うのです。

 

映画は一つのスクリーンで何百人、何千人の人たちに
一気に見せることができるエンターテインメントです。
そしてスクリーンの感動を一緒に観た人たちと共有、分かち合うことができるのです。
感動の共有体験を提供する「映画」の役割にぴったりと見合う作品であれば、
配給会社がジタバタしなくても、人に求められる力で、
必ず近いうちにまた上映される日が来ると思うのです。
権利処理のことなどをちょっと脇に置いて考えれば、
クラッシックの傑作たちが、新橋の地下道で500円でワゴンセールされているのは、
やっぱり今でも観たいと思っている人が沢山いるからでしょう。
権利者がダメといっても、人々に求められて、
製作者の手を離れてあちらこちらに流通してしまっているのです。
それだけの価値がある作品、という見方もできますね。
ヒットとは作品が創り手の元を離れ、独り歩きしていくもの、と、
映画業界でもよく言われています。
『ヒアアフター』はきっと見た人の心になにかを残す、
そういう意味のある作品だと思います。
逆に言えば、さまざまな混乱を乗り越えて今こそ!と見せてみたら、
案外観客にそっぽ向かれちゃった…。
そんな作品も転がっている可能性があります。
思うように見せられない。思うように見られない。
強制的にそんな状況が起こってしまった今、
もとはと言えば、映画だってつまるところ、
「お客さんと共有し合えるかどうか?」が基本 だった
そんなシンプルな発想を、
映画人たちは改めて確認するチャンスなのではないか。
私はそう捉えています。

 

短期的には、公開取りやめになったことで、業界の興行収入も落ち込むし、
機会損失も大きいし、ヤバいコピーだったためにチラシを全部捨てるハメになった
作品もあったりして、確かに損失額は大きいです。
でも長期的にはどうでしょう?
映画館で見知らぬ観客と一緒に感動を共有する。
ワクワクする気持ちを分かち合う。
そんな映画の持つ力に、 もう一度スポットライトが当たる
チャンスでもあると思うのです。

 

映画の世界よりも現実の世界に、
いままで見たこともない光景が広がっている。
911テロの映像もそうでした。今回の津波の映像もそうでした。
こんなダウンなムードの中、いま一番観たい映画はやっぱり
夢と希望を与えてくれるファンタジーなんだと思います。
ですから、当面はファンタジー作品が人の心を掴んでいくのではないかと思います。
ディズニーの『搭の上のラプンツェル』の動員数が前週比で
130%だったというNEWSを聞いて、かなりナットク。
そりゃ、そうだ。今のみんなのココロを救える映画は、
ディズニーとジブリを置いて何がある?
愛と希望と夢のメッセージを
ずっとずっと伝えてきたフィルムメイカーたちなんだから。

 

ですから、映画界きっての「夢と希望担当」のディズニーさんとスタジオジブリさんには、
プロジェクター搭載のトラックを仕込んで、ぜひ被災地のこどもたちのために
移動屋外映画館を提供してもらえないかな、と望みます。
まだ外は寒いけど、少し暖かくなってきたころに、
みんなで広場でディズニー映画やジブリアニメを見たら、
きっと哀しいトラウマの場所が、楽しい記憶の場所に変わると思います。
最後に一発、花火なんかあがっちゃった日にゃあ、
悲しみの底にあった日々に、 少しだけでも希望が見えて、
そんでこどもたちはドキドキしてくると思います。
例えば、そんなことかな、って考えています。

 

そして、映画界は、いまこそひとつにまとまって、総力をあげて、
そういう一大ココロの支援プロジェクトを下支えし
「映画が与える希望」の復権、
「映画館で観る感動の共有体験の再発見」キャンペーンを、
まずは全力でやったらいいと思うのです。

 

「動員低下にあえぐ映画業界。風前の灯」、なんて言われていた昨日が、
一気にリセットされてしまい、
これはやっぱりチャンスなのですから。

 

 

ウォルト・ディズニーのことば

 

世界中で一番素晴らしい場所を夢見て

創り出すことはあなたにもできる。

しかしその夢の実現には

人々の支えが必要です。

 

 

宮崎駿監督のことば

 

質問。宮崎さんの映画を見て育った子供は
     将来どんな仕事を選ぶでしょうか?


             「普通の人になってもらえればいいと思います」

 
原発、放射能、プレート大移動、メガ津波、
森林破壊、温暖化、異常気象、油田枯渇…
映画で描かれてきた世界が次々と現実となっています。
残る未曽有はアルマゲドンくらい。

 

私たちは未来のこどもたちに、
「普通」を残してあげられるでしょうか?

未来の子供たちも映画から
たくさんの想像力をもらえているでしょうか?

映画にできること。

それは「感動の共有体験」だと思います。

 

【後記】

ああ、それにしてもユニクロの柳井さんのように
ポーンと10億、あとはノーコメント。男は黙って、クールポコ“
みたいなのカッコイイよなぁ。
普段から社会の役に立っている人は、いざという時も役割があるよなぁ。

というわけで、プチ会社のプチ社長としては、
出せる義援金の額も少額だし、
大放出できるような、人のココロを救う映画の権利も持っていません。
つまり、大局でできることがあまりないので、
こうしてアイデアをこっそり呟くことくらいしかできないのが忸怩ってもんですが、
今回のいろいろで、【人のココロに届く映画を作りたい】と、
改めて思いを強くしました。
さっ、急がなくちゃ。ぽぽぽぽーん。

とりあえずは、復興資金がぜんぜん足りない様子なので、
JustGivingへのご協力、引き続きよろしくお願いいたします♪
http://justgiving.jp/c/3385
そしていち早く賛同してくださった方々に、
感謝のお礼を申し上げます。ご協力、ありがとうございます。
http://picturesdept.com/justgivingjp
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