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【ドバイ映画祭2012】逆光飛翔 Touch of the Lightのチャン監督がいい人すぎる件

『希望の国』と同じく、アジアアフリカ長編コンペ部門に、台湾のアカデミー賞外国語映画賞エントリー作『逆光飛翔 -Touch of the Light-』(邦訳:光にふれる)が入っています。先日、映画祭が用意してくれたゲスト用のバスツアーで、偶然、この作品の監督の張榮吉(Chang Jung-Chi)さんと、主演のHunang Yu Shangさんとお会いして、まぁ、なんとまあ優しい監督だこと、とその人柄に魅了されてしまいましたので、さぞかし映画も優しい映画なことでしょう、と思い、上映にかけつけました。

おはなしは、このYu Shangさんは、実は台湾でCDを出すくらい有名らしい盲目のプロピアニストで、彼が実在の人物として主演を務めている、ドキュメンタリーではないドキュフィクションのようなお話です。「盲目だからコンテストで1位をもらえるんだ」と揶揄され、実力を認めてもらえないYu Shangと、ダンサーを目指すも夢破れたおんなのこの、心温まる交流の話です。夢を追うこと、折れないココロの保ち方など、シンプルなメッセージがほんとうにほんわかと伝わってきて、監督の人柄そのものがスクリーンいっぱいに広がっていました。(どうも、プロデューサーはウォン・カーワイみたいです)

Chang監督は、1980年生まれの弱冠(といっていいのかどうか?)30歳。初監督作でいきなりオスカー候補です。本国台湾でもヒットした作品だそうです。東京国際映画祭でも上映されていましたし、日本の配給も決まっているようです。あるジャーナリストの方から聞いていた話では、東京国際映画祭では、「クロースショットが多く、映像のダイナミズムが足りない」という理由で受賞を逃したようでした。確かに、ワイド(引きの絵)がほとんどなく、アップが多かったのですが、もしかしたら、ダンサーの女優さんが、バレエがそんなに得意じゃなかったのかもね、という欠点はありましたが、それを補ってあまりある優しい映画でした。審査員も勢揃いでQ&Aを聞き入っていましたので、ここドバイでも受賞候補最有力かもしれませんね。

さて、舞台挨拶で、主演のYu Shangが、得意技、リムスキー=コルサコフの「くまんばちの飛行 Flight of the bumblebee」を披露してくれましたので、ご覧あれ。Yu Shangの向かって右側がChang監督です。